この本が、以前に映画化されたことは知っていました。
知っていたというよりは、映画化されたことを何かで読んで(見て)、知ったというのが当たっています。
解説を書かれた中森明夫さんが、
「これはすごい小説だ。特別な物語だ。」(p.220)
「一冊と言わず、2冊、三冊、いっそまとめ買いをしてもよい。(中略)人生は短い。あなたに残された時間はそう長くない。」(p.220)
と書かれた意味が、読み終えてなんとなく分かったような気がしています。
「世界から猫が消えたなら」の主人公の名前は?
物語の中で出てくるのは主人公の「僕」、主人公と母親との会話でも「母さん」、「あなた」等で展開していくので、主人公の名前は書かれていない?
「どこかに出ていたのかな、見過ごしてしまったのかな?」
と書いているとき、ふと気になってしまいました。
登場する猫は「レタス」と「キャベツ」。
同時に登場するのではなく、レタスが死んでからキャベツが登場する。
余命宣告をされた主人公の前に登場するのが、主人公の姿をした悪魔。
悪魔から「世界から何かを消せば命が延びる」と言われた主人公。
そこから、月曜日から火、水、木、金、土、日曜日までの話が続く。
金曜日だけがキャベツが擬人化されて登場する。
キャベツが主人公を呼ぶとき、「お代官様」と言う。
なぜ、「お代官様」なのかの意味は分からなかったが、キャベツと主人公の互いを思う気持ちだけは、しっかりと伝わってきた。
この物語の出てくることばに、
「死ぬまでのしたい10のこと」(pp.16-17)
「あなたの素敵なところを10個伝えておきたい」(p.192)
自分に置きかえたとき、10のことを言えるのか?
また、
「何かを得るためには、何かを失わなくてはね。」(p.184)
「人間が猫を飼っているわけではなくて、猫が人間のそばにいてくれてるだけなのよ。」(p.190)
「生きる」ということ、そして「OjoKuro」、わが家にいるオジョーとクロとの生活について考えさせられる一冊になりました。