熊谷守一『熊谷守一の猫』株式会社求龍堂

猫好き必見!猫が登場する本紹介!

伊集院静の随筆集「ねむりねこ」の表紙、猫の絵のことが知りたくてGoogle検索をしたのがきっかけに、画家「熊谷守一」を知り、「宝井琴調『眠り猫』福音館書店」とも出会い、

ついに画集「熊谷守一の猫」にたどり着くことができました。

実は知人が私の話を聞き、図書館から借りてくれたんです。

画集の表紙も白い猫が寝ている姿。

伊集院静の「ねむりねこ」の表紙と同じ白い猫だと思ったのですが、よく見てみると尻尾の長さが違いました。

画集をめくっていくうちに発見しました。

随筆集の表紙は1958年作「白仔猫」(p.21)

画集の表紙は1962年作「白猫」(p.83)

1958年が「白仔猫」、1962年が「白猫」なので、きっと同じ猫・・・。

7頁から99頁まで、ほぼ猫の絵で編集されています。

「『眠り猫』という作品がありますが、これは千早町の家の物置で野良猫が子を産み、その子孫がずっと棲みついていたのですが、それを描いたのです。私の膝の上で眠っているところをスケッチしました。背中を丸めて寝ているのがだんだん絵になっていく途中を家内が見て『でんでん虫ですか』とたずねたものです」(p.22)

と書かれていて、作品になる前のスケッチも多く載せられています。

表紙をめくると直ぐに猫を抱く守一の写真。

昼寝をしている守一の傍で眠る猫の写真(pp.40-41)も載せられています。

初めに

「私は動物や虫が何でも大好きです。中野の立教大学裏の大原でも、今住んでいる千早町でも、何時の時代でも猫がいました」(p.6)

終わりには

「私は生きていることが好きだから他の生きものもみんな好きです」(p.96)

また

「川には川に合った生きものが棲む。上流には上流の、下流には下流の生きものがいる。自分の分際を忘れるより、自分の分際を守って生きた方が、世の中にはよいと私は思うのです。

 いくら時代が進んだっていっても、結局、自分自身を失っては何もなりません。自分にできないことを、世の中に合わせたってどうしようもない。川に落ちて流されるのと同じことで、何もならない」(p.92)

伊集院静さんが猫の登場しない随筆集に、熊谷守一の猫の絵を使い、タイトルを「ねむりねこ」とつけた意味がなんとなく分かったよう気持ちになりました。

<追記>

画集の最後に「父と猫と家族と」という題名で熊谷守一の長男「熊谷 黄」さんが、当時の暮らしぶりを紹介しています。家族への思い、猫への思いが自然と伝わってきました。

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