「かなしきデブ猫ちゃん」は絵本?
文が「早見 和馬」、絵が「かのう かりん」。
目次の裏に「愛媛新聞社より刊行されました」と書かれていました。
3部構成で
第1部が「窓の向こう」
第2部が「荒野へ」
第3部が「空よりもまだ青く」
第1部の冒頭
「吾輩もネコである。名前なんか知らない」(p.12)
で始まる。
どこかで聞いたような書き出し。
夏目漱石『吾輩は猫である』をもじっている。
第2部では、「坊ちゃん」、「赤シャツ」、「山嵐」等、夏目漱石の『坊ちゃん』と同じ名の猫も登場する。
第1部での飼い主との出会いも「捨て猫カフェ」。
飼い猫を探しに来ていたアンナの「あのチビネコちゃんがいい」の一声で決まる。
もちろん、「デブ猫ちゃん」と最初から言われていたわけではなく、
「食べて、食べて、ゴロゴロして。また食べて、ゴロゴロして」(p.24)の生活が原因。
心配した飼い主から「ダイエットフード」に変えられる。
ある日、夢の中に、額に三日月の傷がある真っ黒なメスネコが出てくる。
後の「マドンナ」である。
その後、「デブ猫ちゃん」が何故、飼い主の家を出たのか?
荒野とはどこなのか?
愛媛県の観光名所が多く登場する。
「ここは愛南町。ワシは日本で一番海のキレイな街じゃと思うとる。ええ旅をせいよ。成長するには旅。そして恋じゃ。お前の捜しとるメスネコと会えることを祈っとるぞ」(p.81)
と励まされるおじさんのことば!
この本の構成が2頁の見開きに絵が描かれていて、次の2頁の見開きに話が書かれている。その繰り返しが、何時しか話の中に入ってしまっているという感じ。
猫好きには傍に置いておきたい本である。