「眠り猫」は「宝井琴調」が作者で、「ささめやゆき」が絵を描いた絵本。
この絵本を知ったのも、前回紹介した伊集院静の「ねむりねこ」がきっかけでした。
伊集院静の「ねむりねこ」のことが、もっと知りたくてGoogle検索をしたときに、たまたま「眠り猫」を見つけました。
「ねむりねこ」と「眠り猫」、違いはひらがなと漢字。
「眠り猫」は、講談として語られていた話をまとめた絵本。
時代は江戸時代で第三代将軍徳川家光の時代。
登場人物は彫り物師の甚五郎と六兵衛。
「祖父家康公をまつる日光東照宮にかざる猫を彫るように」という下知が将軍家光から下る。
徳川家康は猫が好きだったらしい。
二人の彫り物師はそれぞれの猫を彫る。
六兵衛は猫より強い虎の絵を参考に、三日三晩寝ずに迫力のある猫を彫る。
一方、甚五郎はなかなか猫の構想がきまらない。
そんなとき、おばあさんと子どもが豆を干しながら居眠りをしている横で寝そべっている猫を見る。
いよいよ審査の日。
日光東照宮の御門の上に収められたのは甚五郎の猫。
「甚五郎の猫は、のどをごろごろ鳴らして、気持ちよく眠っているようじゃ。
人々をおそれさせるのではなく、みなが安心してくらせる世の中が大事。
これぞ天下泰平の世にふさわしい、みごとな猫じゃ」という大久保彦左衛門の一声で決定。
猫が寝そべる姿は、安心感そのものの姿。
前回紹介した画家の熊谷守一が描く猫も寝そべっている猫の姿。
まさに「ねむりねこ」。
この絵本を読み、「ねむりねこ」と「眠り猫」がつながり嬉しくなった。
因みに「眠り猫」は世界遺産に登録されている日光東照宮の数ある彫刻の中で、平和の象徴として多くの参拝客に愛され、国宝に指定されてそうです。