文春文庫7月新刊案内に「猫を愛する豪華執筆陣による猫小説アンソロジー」と書かれていました。
アンソロジーとは、複数の作家が特定のテーマで作品をまとめた「選集」という意味なんですね。
では、豪華執筆者名と作品を紹介します。
湊かなえ 『マロン話』
有栖川有栖 『エア・キャット』
柚月裕子 『泣く猫』
北村薫 『「100万回生きたねこ」は絶望の書か』
井上荒野 『凶暴な気分』
東山彰良 『黒い白猫』
加納朋子 『三べんまわってニャンと鳴く』
どの作品も、猫が中心にどっかりと座っているのではなく、話のどこかに猫が登場し、登場の仕方によって、重みを増したり、ぴりっとした味付けになったりしているように感じました。
有栖川有栖『エア・キャット』は、マスターのマジックショーから始まるミステリー。
「エア・キャット」とは「空気猫」、実際には猫を飼っていないのに、昔に飼っていた猫がまだ生きているかのようなふりをしている人。
その人の名が「金子泰司」、読み方を変えれば「猫飼いたいし」。
その人物が事件に大きく関わっているのか?
夏目漱石の『吾輩は猫である』、『三四郎』も出てきて事件の解決につながっていく・・・。
改めて、猫小説と言えば『吾輩は猫である』なんだと納得してしまいました。
北村薫『「100万回生きたねこ」は絶望の書か』に出てくる「100万回生きたネコ」という絵本、実は知らなかったんです。
周りの人に聞くと「知ってるよ。」という声!
11月17日(水)の朝日新聞の天声人語に、偶然にも「100万回生きたねこ」が「100万回死んだねこ」として覚え違いをされているという、全く違う観点で出ていて、またびっくり!
「『100万回生きたねこ』は絶望の書」と聞いた主人公の思いとその後の変化に共感しました。
巻末には、澤田瞳子『猫と本を巡る旅 オールタイム猫小説傑作選』として、猫が登場する本が紹介されています。
その中の本も読んでみたくなりました。