『ペルシャ猫の謎』は本の題名。
本をめくってみると
・切り裂きジャックを待ちながら
・わらう月
・暗号を撒く男
・赤い帽子
・悲劇的
・ペルシャ猫の謎
・猫と雨と助教授と
の7作品の短編小説が載っている。
『ペルシャ猫の謎』
登場する猫はペルシャ猫。
登場する人物は主人公と主人公の双子の弟、主人公の彼女、双子の弟の彼女、弟の彼女を一方的に好きになる男。
そして、有栖川有栖の推理小説の常連である大学助教授の火村、作者である有栖(アリス)、警察関係者。
話の始まりは主人公が勤めていた会社の倒産による離職、一緒に暮らしていた彼女との別れ、その際に託されたというより、押し付けられたペルシャ猫「ペル」。
「ペル」という名の由来は「ペルシャ猫」だから「ペル」。
主人公は、子どもの頃から猫が好きではなかった。
ペルと仕方なく過ごし始めた矢先、夜、ペルが帰ってこないことを心配する作者。
無事、返ってきたペルが、布団の中にもぐり込んできたとき、
改めて、仕事もなくなり彼女もいなくなり、傍にいるのは「ペル」だけであることを実感する主人公。
そんな主人公が家で殴られガスのコックを捻られるという事件が起こる。
その事件を推理する火村助教授と有栖川。
解決に導いたのが「ドッペルゲンガー」という自己像幻視。
それを裏付けたのが「ぺル」の所在。
物語が大阪を舞台にしているので、余計に物語に入り込んで読むことができました。
他の6作品も読んでみました。
文庫版のあとがきに「どうでもいい遊びなのだが、本書に収めた全作品には、必ず、一度は猫という字が出てくる。『ああ、気がついてたよ』という方はなかなかの観察力だろう」(p.311)と書かれていました。
もちろん、最後の「猫と雨と助教授と」は、猫と火村助教授、火村が下宿する婆ちゃんが登場しますが、他の5作品の中で、猫という文字を私は見つけることができませんでした。
残念です!