「猫が登場する本」を紹介しようと思ったきっかけは、群ようこさんのファンだったことが影響しています。
そのため、夏目漱石の「吾輩は猫である」の次の2冊目として、このブログで
紹介しました。
「福も来た パンとスープとネコ日和」はブックオフで見つけました。
主人公の「アキコ」の母が亡くなり、勤めていた出版社を辞め、母がやっていたバーをパンとスープの店として新たに開店させた後、愛ネコ「たろ」が亡くなってからの日々が書かれている。
「アキコの朝は母とたろの写真の前に、水とご飯を置くことから始めまる。母にはお米の御飯、たろにはお気に入りのドライフードとかつおのおやつだ。」(p.5)から話が進んでいく。
登場人物は、アキコと一人だけの従業員「しまちゃん」。
母のバーの頃から知っている喫茶店のママさん。
最近ママさんは、よく店をのぞきにやってくる。
しまちゃんは、高校時代にソフトボールをやっていたが、正選手ではなく世話係的な尊大だったそうだ。
店が終わった後もバッティングセンターに行っているそうだ。
しまちゃんもネコ好きで、携帯でネコの写真を撮ってはアキコに見せている。
ただ、ネコの写真をアキコに見せると、たろを思い出させ、悲しませているのかもしれないと気遣う等、人に機微がわかるやさしい性格の持ち主である。
アキコは今もたろを思い出し涙する。
読み進めていく中で、店の経営状態も心配になったが、しまちゃんの給与を払えるぐらいなので心配はないようだ。
アキコとしまちゃんで新作メニューも研究しているようだ。
パンとスープの店もママさんが経営する喫茶店も商店街にあり、昨今の商店街の実情が見え隠れしている。
アキコの店もコーヒー、紅茶などはメニューに入れず、ママさんの店から出前で注文している。
ネコの登場に関しては、愛ネコたろが亡くなっているので、物語の中で生きた猫は登場しない。
物語の最後に、「60代の夫婦が室内でネコを飼っていたが、急に奥さんが亡くなり、家には夫とネコが残される。もともと夫はそんなにネコが好きではなかったのか、粗相をしたネコに激怒し、家にいるネコを追い出そうとする。近所の人が止めに入っても、棒を振り回し、結局、全部のネコが追い出されてしまう」(要約p.180)という事件が起こる。
休みの日に、しまちゃんと素朴を絵にかいたような華奢な青年が訪ねてきて、事件に顛末を聞いたアキコは怒りのあまり言葉が出てこない。
そんな時、「『みゃー』と声が聞こえた。『え、ネコ?』『そうなんです』(中略)『あーっ、たろちゃんにそっくり。あれ』中からもう一匹、たろと同じグレーのキジトラ柄の子が出てきた」(pp.181-182)
兄弟ネコだった。
「『これからもよろしくね』アキコは寝ている二匹の頭に、交互に頬ずりをした」(p.188)
次巻は新たな家族、二匹のネコが登場するのだろう。
次巻も読みたいが、愛ネコ「たろ」との日々が綴られているであろう前巻
「パンとスープとネコ日和」を読みたくなった!